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  防犯福助・トリの場合

トリは、週末を楽しんでいた。いや、正確には、週末だけを楽しみに生きていた。
ぶらりと街へ出かけ、防犯福助なるものを売る露店を見つけた。
なにぃ?防犯福助だと?ただお辞儀しているだけの福助人形じゃねーか。
しかし、深々お辞儀してやがるよなー。
サラリーマンの鏡のような人形だな、けっ。
と、どうでもいいことをぐだぐだ思いながら、なんとなく買ってしまった。

トリは、家に帰り、防犯福助をまじまじと見つめた。
やっぱり、「防犯」として売っていたからには、ちゃんと防犯してくれないとなぁ。ちょっと試して見よう。

トリは、夜中に、わざとドロボーのように部屋に忍び込んで、金品を盗む真似をして見せた。
ちらっちらっと防犯福助を見てみるが、あいかわらずただお辞儀をしている福助。
けっ、つまんねぇ。

そう思いながら、とりあえず、金品を袋に包むのを完了し、立ち上がろうとした瞬間...
トリは、防犯福助を見てびっくりした。
防犯福助は顔をあげ、きっとトリを睨み付けていたのだった。

な、な、な、なんだ、こいつ.......。
防犯福助と目があったトリは驚きを隠せなかった。

防犯福助は、大きく口を開き、「ドロボー!ドロボー!」と叫び始めた。
おっかなびっくりで、トリは、自分の家なのに、何も持たずに逃げ出してしまった。

・・・・トリは今、困っている。
防犯福助は、トリはドロボーだと思い込んでいるのだった。
トリがただテレビを見に来ただけなのに、顔をあげて、「ドロボー!ドロボー!」と叫び出す。
「うるさいっ!ドロボーじゃないぞ!この家の主人だ!」
そう言い聞かせても、「ドロボー!ドロボー!」と叫び続ける。
テレビを見たいのに、防犯福助がうるさくってしょーがない。
なんで、自分がこんなに肩身の狭い思いをしなきゃいかんのだ!

トリはただただ納得がいかずに、大音量でテレビを見るのだった。