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  コーヒー

カエルはコーヒー党である。
カエルのコーヒーの飲み方にはこだわりがある。
しかし、豆や煎り方などという、通っぽいこだわりではない。
カエルは砂糖はいれないが、ミルクだけいれる。
コーヒーはミルクあってこそ、コーヒーのコクがひきたつものである、というのがカエルの持論である。
そして、天気のいい日に、喫茶店の眺めのいい窓際の席で、
コーヒーの香りを楽しみながら飲むのが最高の幸せである。

そんなカエルがもっともこだわるのは、ミルクである。
コーヒーにいれるミルクは、生クリームじゃないといけない。
牛乳なんて、邪道である。
コーヒーの豊潤な香りとのどごしを、生クリームが包み込むようにまろやかな味に仕上げるのであり、水っぽい牛乳では
コーヒーとペアを組むにはあまりにも力不足である。
しかし、コーヒーを牛乳と一緒に出す店が多いので、カエルは困るのである。

知らない店にはいる前に、カエルは、店の外からコーヒーを頼んでいる人の様子をさぐる。
大きなミルク入れがあった場合、これはまず牛乳である。そんな店は却下である。

ある日、カエルは、窓際の席が空いている、あまりひとけのない喫茶店を見つけ、そっと覗いてみた。
小さいミルク入れを発見!あのサイズは牛乳じゃないぞ!
よし、あの席でコーヒーを飲もう!
カエルは店のドアをあけた。
・・・なんだかいやな予感がした。
カエルは、念願の窓際の席にすわり、コーヒーを注文した。

・・・いやな予感・・・・。いやなニオイ・・・。
カエルの前に運ばれてきたコーヒーは、保温器の上に長時間おかれた煮詰まったコーヒーだった。
もやっとしたなんだか納豆くさいニオイ・・・。
ミルクをいれると、ますますまとわりつくようなニオイに・・・。
納豆好きなカエルも、納豆味のコーヒーはさすがに苦手であった。

以後、カエルは、店の外からミルク入れをのぞいた後、入り口のドアでコーヒーが煮詰まってないか、確かめるようになった。
とくに人の少ない店は回転が悪いので、念入りにニオイを嗅いだ。

あなたが喫茶店の前で必死にニオイをかいでいるカエルを見かけたら、それは彼かも知れない・・・。