おどるはにわ幸せなトリペンギンくんちのすぐれもの カエルのこだわりお役立ち人形防犯福助便利冷蔵庫日記付きカバン素敵なグッズ

  たくあん

カエルは、たくあんが嫌いである。
あのお口の中に広がるぬか臭さと酸っぱさがたまらなく気持ち悪い。
そんなに嫌いならば、食べなければいい。
しかし、彼は、誰かがたくあんをぽりぽりと食べている姿を見ると、無性にうらやましくなる。
まず、「ぽりぽり」という食べている音に加え、きっと歯とたくあんが摩擦しているのだろう、「きゅっきゅっ」という音・・・。
なんともいえず、うらやましいのである。

当然のことながら、誰かがたくあんを食べている姿をみて、ついつい自分もたくあんを食べてしまうこともある。
・・・しかし、すぐに口の中がうぇ!っとして、飲み込んでしまい、「ぽりぽり」を体験することができない。
たくあんほど、食べているときのイメージと実際の味に大きなギャップを持つ食べ物はないだろう。
友達は、「ぽりぽり」「きゅっきゅっ」とたくあんをうまそうに食べる。
カエルは、世の中の幸せの半分を味わうことができないのだ、と、自分の味覚をのろった。

あるとき、カエルは、我慢して、たくあんを食べようと決心した。
たとえどんなにまずくても、噛み続けて、「ぽりぽり」「きゅっきゅっ」を味わうぞ!
カエルは、一大決心をして、たくあんに挑んだ。

ばりばり・・・。
口の中に、ぬか臭さとすっぱさが広がる。
カエルは、眉毛をしかめた。
でも、ここで、飲み込んでしまっては、いつまでたってもそのままた。
今日こそは・・・。ぐっと我慢した。
ばりばりばり・・・。
頭の中いっぱいに、音が広がる。
・・しかし、それは、他のカエルたちが食べているときの「ぽりぽり」というようなかわいい音じゃない。

まわりの音が何も聞こえなくなってしまうようなバリバリというデリカシーのない音だ。
ばりばりばり・・・。
・・・こんなはずはない。「ぽりぽり」「きゅっきゅっ」じゃない。
一緒に食事をしていたカエルに聞いた。
「ポリポリという音してないよね?」
「・・え?ポリポリしてるよ。たくあん食ってる音だろ?」
カエルは、びっくりした。これは、自分の憧れていたポリポリじゃない。

カエルは悟った。憧れは憧れのまま、残しておくべきだ、ということを。

あなたが、食堂で、誰かがたくあんを食べている横で、うっとりと音に聞き入っているカエルがいたら、
それは彼かも知れない・・・。