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  お役立ち人形の会合

満月の夜になると、お役立ち人形たちは、それぞれの家をそっと抜け出し、会合を行うのだった。


「やぁ、きみは、はにわさんとこの。」
「やぁ、きみは、ペンギンさんとこの。最近仕事はどう?」
はにわのお役立ち人形は、ペンギンくんのお役立ち人形に尋ねた。
「まったく、さっぱり仕事がなくって。
電源をONにするのも面倒らしいよ。きみのところは?」
「最近、ちょっと腰痛気味なんだ。1日中パチンコやの椅子にすわりっぱなしで、
煙草のせいで、咳もよく出るようになってね。
禁煙しようと思ってるんだけど、ついつい・・・。」

はにわの人形とペンギンくんの人形の話に花が咲いているときに、どしっどしっどしっ!と音がした。
おや?なんだ?と思っていると、カエルのお役立ち人形が現れた。
「・・・この間より、さらに太ってないか?」
ペンギンくんの人形がそうつぶやくと、カエルの人形は答えた。
「そうなんだ。最近糖尿の心配もしてるんだけどね。
でも、仕事もそれなりにやりがいがあって充実してるから、もう職業病だと思って諦めてるけどね。」

3人で盛り上がっているところに、暗い表情をしたトリのお役立ち人形がやってきた。

はにわの人形とペンギン君の人形とカエルの人形は、目の下にクマを作り、頬もこけたトリのお役立ち人形に目が釘付けになった。
「・・・・だ、だいじょうぶかい?」
はにわのお役立ち人形は恐る恐る話しかけると、トリのお役立ち人形は、わぁ!っと泣き出した。
「こんな生活、もういやだぁっ!!!」
なんとか皆でなだめようと思ったが、かなり根が深いらしく、いつまでも泣き続けている。

「ま、いいじゃない、仕事があるだけ。」
いつも仕事がなくって、ひまだらけのペンギンくんのお役立ち人形がいった。
「・・・こんなおやつだったら、仕事なんか無い方がいいよぉ・・・。」
ぐちぐちといい続けるトリのお役立ち人形。

もうすぐ夜も明ける。そろそろ帰る時間だ。
みんなは、帰り支度を始めるが、トリの人形は、帰りたくない、と言い出す始末。
ペンギンくんのお役立ち人形は、どうせ帰ったって退屈でしょうがないので、提案をした。
「じゃぁ、次回の会合まで、トレードしてあげるよ。仕事がないのだって、結構つらいんだよ。
きっと、ひまを持て余して、初めて仕事がある喜びがわかるよ。」
ということで、トリのお役立ち人形も納得し、ペンギンくんのお役立ち人形と入れ替わることになり、みんなはそれぞれの家に帰っていった。

3時になった。
元ペンギンくんちのお役立ち人形は、久々の仕事に充実感を感じながら、トリのところに行っておやつをねだった。
わさびせんべぇを与えられ、むしゃむしゃと食べた。
このつーんと鼻にくるところが快感なんだよねぇ!
お役立ち人形は、鼻をすすりながら、うれしそうにむしゃむしゃと食べ続けた。
その姿をトリは不思議そうに見つめた。
・・・おかしい・・・。なんで嬉しそうなんだろう?
次の日、トリは、酢醤油のところ天をあげた。
お役立ち人形はうまそうにむしゃむしゃと食べた。
おかしい、この間は、いやがっていたのに・・・・。
元ペンギンくんのお役立ち人形は、こんなに楽しい生活なのに、トレードしたあのお役立ち人形が何を怯えていたのか、さっぱり理解できなかった。
そんな楽しそうな様子を見ながら、トリは混乱した。
実は、このお役立ち人形は、トレードした人形とは食べ物の好みが正反対だったのだ。

トリはいろいろと考えてみた。
あまり嫌いなものを食べ過ぎて、すっかり味覚が変わってしまったのだろうか?
年をとると味覚も変わるみたいだし・・・・。
また最初っからデータの取り直しだ。

今まで取ったデータは無視することにして、以前のお役立ち人形が好物だったシュークリームをあげた。
このお役立ち人形は、甘いものが好きではなかったのだ。
ちょっといやそうな顔をしたのを、トリは見逃さなかったのだった・・・・・