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  お役立ち人形・トリの場合

トリは今日はお休みである。昼間の繁華街を歩いていた。
すると、そこで、「お役立ち人形」の露店を見つけた。

ふーん、役に立つんだったら、かわりに仕事でもしてくれないかな?
なんて思いつつ、トリはお役立ち人形を買った。


うちへ帰って、電源をオンにしてみた。
「テレビのスイッチをつけてくれ。」
手始めに頼んでみると、いままでじっとしていたお役立ち人形は軽快に動き出し、テレビのスイッチをつけた。
「コーヒーをいれてくれ。」
次にそういうと、お役立ち人形は、お湯を沸かしはじめ、コーヒーをいれる準備を始めた。
結構使える人形だなぁ、とトリは思った。

今度は明日の資料を考えて作ってくれ、と頼んでみた。
でも、首を横に振られてしまった。
なんだ、雑用しかしてくれないのか。使えねーな。
トリはがっかりした。
すると、人形がおやつを欲しがりはじめた。
あ、なんだ、3時か。
時計を見て納得し、昨日隣りのおばさんからもらったおせんべいを取り出し、お役立ち人形にあげた。
お役立ち人形はうれしそうにほうばりはじめた。

次の日、その次の日も、別に必要と思っているわけじゃないけど、ひまつぶしに電源をオンにしてみた。
適当に雑用を作ってはやらせ、おやつの時間にクッキーやポテチをあげた。

ある日のことだった。
トリが酢じょうゆのところ天を食べようかな、と思っていたとき、風呂掃除をさせていたお役立ち人形がトリのところへ走りよってきた。
なんだ、もうおやつの時間か。
トリは自分が今食べようとしていたところ天をお役立ち人形に与えると、お役立ち人形はちょっと躊躇しながら食べはじめた。
一気にところ天をすすったかと思うと、いそいで飲み込んで近くにあった烏龍茶を流し込む。
そしてまた一気にところ天をすすりこみ、烏龍茶を飲み込む。
そうか・・・。こいつ、ところ天きらいなんだな・・・。

次のおやつタイムはクッキーをあげると、大喜びでほおばった。
その次のおやつタイムにはまたところ天をあげると、いやそうに食べていた。
面白い!と思って、次のおやつタイムに納豆をあげてみた。
でも、喜んで食べていたので、納豆は嫌いじゃないらしい。
ちぇっと思った。
次のおやつタイムはいなごの佃煮をあげてみた。
見た目のグロさにお役立ち人形はいやそうな顔をしていたが、味わうことなく、急いでごくんと飲み込んだ。
ふぅん、これも嫌いなんだな・・・・。
今度は何を食べさせてみようかな・・・。

トリはおやつタイム5分前になると、わざとごみを床に落としてお役立ち人形の電源をONにする。
さて、今日のおやつは、激辛キムチ・・・。

・・・最近、お役立ち人形は、電源をオンにされるのを恐怖しているのだった。