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  ごみ箱
ペンギンくんはものぐさである。
当然のことながら、いちいち立ち上がってゴミを捨てにいくのを面倒臭がる。
遠くにあるゴミ箱めがけて、ゴミを投げる。
一部は見事にごみ箱に命中するが、しかし、その他は床に散乱する。
もちろん、ペンギンくんは、入らなかったと気づいても、わざわざ拾ってごみ箱に捨てに行くわけがない。
そのまま床にいっぱいゴミが散乱した状態である。

またまた当然のことながら、ペンギンくんが、ゴミ箱にたまったゴミをいちいち捨てるようなマメなことをするわけがない。
ゴミ箱からゴミが溢れ出し、ゴミ箱から溢れた山に弾かれて、ゴミはますます床に散乱する一方である。
それでも、ペンギンくんは、めんどくさかったので、そのままにしておいた。

そのうち、ゴミ箱もこれではいけない、と思い始めたようだった。
朝、ゴミの回収車がくると、寝ているペンギンくんを横切って、自分から外へ出ていって、中のゴミを捨てにいくようになった。
ペンギンくんは、寝ぼけ眼でその様子を見て、なかなか便利なやつだなぁ、と思った。

中身が空っぽになったゴミ箱に、あいかわらず、ペンギンくんは遠くからゴミを投げ入れ、外れても相変わらず無視する。
ゴミ箱は、さらに、これもいけない、と思い、ペンギンくんがゴミを投げ入れると思った瞬間、身構えて、投げ入れられる方向に動いて、見事にゴミをキャッチするのだった。

ごみ箱が勝手に動いてゴミをキャッチするようになると、なまけもののペンギンくんは、ごみ箱めがけてゴミを投げるのもめんど臭くなってきた。
その辺に適当にゴミをぽん!と捨てると、ごみ箱がぴゅーん!と飛んできて、ペンギンくんの捨てたゴミをキャッチするようになった。
ペンギンくんはとっても便利だなぁ、と思った。

あるとき、ペンギンくんは、風呂に入るのがとってもめんどくさかった。
5日たって頭がかゆくなってきた。でも、やっぱり風呂に入るのがめんど臭かった。
10日目の朝のこと、寝ぼけまなこで起きたペンギン君は、もよよーんと匂うようになってきた。

さすがのペンギンくんも、そろそろ風呂に入った方がいいのかな?という気になってきた。
ペンギンくんは、そろりと立ち上がって、風呂に入ろうと思ったとき、部屋の敷居につまづいて、軽く飛び跳ねて転びかけた瞬間、ゴミ箱がぴゅーん!と飛んできて、ペンギンくんをキャッチした。

・・・ペンギンくんは、ゴミ箱が助けてくれたのかなと思った。
しかし、外をゴミの回収車がやってくる音がした瞬間、中にペンギンくんをいれた状態で、ごみ箱が回収車の方へ飛んでいった時に、
初めて、自分がゴミだと思われたことに気付いた。
ペンギンくんは大焦りで、ゴミ箱から必死で抜け出して、急いで部屋へ逃げ帰った。

  ・・・さすがのペンギンくんも、以後、風呂にはちゃんと入るようになったらしい。
めでたし、めでたし。