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  古新聞

彼のうちの新聞紙は、すぐれものである。
彼は、いつも、新聞をその辺に置いたままにし、日が経つにつれ、足の踏み場がだんだん無くなってくる。

月に1回、新聞やさんの古新聞回収車が来る。
彼は、いちいち古新聞を出すのがめんどくさくてしょうがない。

しかし、いつのころからかは覚えていないが、回収日の前日の夜になると、新聞紙たちが、騒ぎはじめる。

「古い順に並ぶから、日付順に上にのっていけよ。」
部屋全体に散らかっていた新聞紙たちは、一個所にまとまり始めた。
ペンギンくんは、ざわざわと移動する新聞紙たちを横目にみながら、あいかわらずテレビを見ている。
そして、翌日の朝、新聞回収車の気配を感じると、みんなまとまって、回収車めがけて、外へ出て行くのだ。
ペンギンくんは、そんな新聞紙たちを、いつも、ねぼけまなこでぼーっと見ている。

ある日のことだった。彼は、友達と飲みに出かけた。2次会で解散したものの、彼は、なんとなく、飲み足りない。
そういえば、明日は、古新聞の回収日だ。たまには、新聞紙たちと、最後の晩餐でもしよう。

彼は、そう思って、ビールとおつまみを買い込み、家に帰った。

家に着くと、新聞紙たちは、1つにまとまっている最中であった。
彼は、まとまりつつある新聞紙たちに、ビールを薦めた。
新聞紙たちは、彼の意外な親切に驚いたが、喜んでお酒を飲みはじめた。

ぐびぐびぐびぐび。。。
日付の新しい順に上にいた新聞紙たちから、順番にビールを飲みはじめた。
ぐびぐびぐびぐび。。。
一番下にいた最古参の新聞紙まで、お酒を飲み始め、ペンギンくんを含む新聞紙たちの大宴会が始まった。
最後の夜は、やっぱり、宴会を開くべきだよなぁ・・・。
ペンギンくんは、満足だった。
一度は、まとまりかけた新聞紙たちは、赤い顔をして、あちこちに散乱して酔っ払っていた。

夜があけた。朝が来た。
ペンギンくんはトイレに行きたくなって目が醒めた。
外は明るいというのに、新聞紙たちは、酔っ払って散乱して、眠りこけている。
彼はカーテンを開けると、古新聞回収車が去っていくのを見た。

来月まで、こいつらは、ここで散乱し、さらに新しく来た新聞紙も散乱するのか・・。
ペンギンくんは、二度と、新聞紙には、酒を振る舞わないぞ、と、決心をしたのだった。