そして、トリは会社に出社した。仕事中、ときどき咳がごほごほ出たるので、昨日のカラオケで歌い過ぎたことは明らかだった。
コーヒーで喉を潤しても、やっぱりすぐに咳が出てしまう。確かに昨日は調子に乗って、激しく歌っちゃったしなぁ・・
そんな状態で、やっと定時の時間がやってきた。
しかし、トリに定時などない。当然のことながら、これから残業である。
ごほっごほっ。まだ咳がでるなぁ・・・。さすがに歌いすぎちゃったかなぁ。
他人の歌まで一緒に歌って盛り上がっちゃったからなぁ。
すっかり残業することを当たり前だと思って、そのまま仕事をしていたトリだったが、ごほっと咳をした瞬間、上司がトリのすぐ近くを通りかかった。
「今日はよく咳をしてるけど、風邪でもひいたの?最近、仕事も大変そうだから、今日は早く帰って明日に備えて休養とった方がいいんじゃないの?」
気が利かない上司が、珍しくトリに対して言ったのだ。
トリはその言葉を聞いて、とっさに答えてしまった。
「はぁ・・・・。どうも体調を壊したみたいで・・・。」
と、わざとごほごほさせて、だるそうな表情をしてしまったトリだった。
上司は、可哀相に・・・という顔をしてそのまま去っていった。
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