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  おやぢギャグ探知機
トリはサラリーマンとしての自分について考えた。
いくら仕事ができても、堅物のサラリーマンもつまらない。仕事の場でも、ジョークがさらっと出るような、スマートなサラリーマンになりたい、と。
ある時、トリは、たまたま訪れたお店で、おやぢギャグ探知機なるものを見つけた。
「スマートなサラリーマンを目指すあなたに、おやぢギャグ探知機だと?なになに、親しみをこめていってみたジョークが、つまらないおやぢギャグで、部下たちのヒンシュクをかっていないだろうか?その場をなごますつもりが、みんなを石にしていないだろうか?そんなあなたのジョークのセンスを磨くための便利な道具、それが、このおやぢギャグ探知機だ、だと?なんじゃこりゃ。」
どうやら、おやぢギャグ探知機というのは、お笑いセンサーがついていて、ギャグがすべると好きな食べ物が目の前から消え、嫌いな食べ物に変わる、という装置だそうだ。嫌いな食べ物に変わる事態を避けるために、日頃からギャグセンスを意識し、磨いていこう、という主旨の探知機なのである。
  「うっわぁ、へんなグッズがあるなぁ。キーホルダータイプで、手軽に持ち歩きも可能か。」

くだらんもん、考えやがって、けっ、といいながらも、今日、会社で、コミュニケーションのつもりで自分より若い社員にいったダジャレがすべって苦笑でかわされたことを思い出した。
「・・・これも、立派なサラリーマンになるためだ・・・。ま、おれなら、その気になれば、簡単にクリアするかもな、なんて。」
トリは早速購入した。
家に帰り、緑茶をすすりながら、ウニせんべいを食べていた。ふぅ、やっぱ、日本人は緑茶だねぇ。ずるずるずる。トリは満足気にお茶をすすりながら、早速ジョークを考えた。今ちょうど、ウニせんべいを食べていたので、ふと思い付いた。
「まったく、このウニせんの味がわかるのは、うにせんやませんのおれさまぐらいなものだなぁ。そりゃ、海千山千でんがなぁ!」
・・・すると、おやぢギャグ探知機がぴこぴこ光りはじめた。おいおい、なんだ?今のは、ギャグがつまらなかったってことか?トリは、考えながら、緑茶をすすった瞬間だった。
「うわぁ!まっじぃ!緑茶が青汁になったじゃないか!ひっでぇ!いくら健康によくったって、こんなまずい飲み物飲めるかぁ!」
トリはむかつきながら、今のギャグのなにが悪いのか、一生懸命考えた。
「・・・知的なギャグだと思うんだけどなぁ。やっぱり、難しすぎるのも、ギャグとしてはふさわしくないのかな・・・。まず、誰にでもわかる、わかりやすいギャグにしないといけないのかな。おれみたいな教養をさらけだすと、かえって難しくてイヤミになっちまうのかなぁ。」
トリは、なんだか納得いかなかった。

トリは、会社にもおやぢギャグ探知機を持ち歩いた。 今日は職場の飲み会だ。トリは、かったるいと思いながらも、仕事を適当に切り上げ、 飲み会に参加した。
「最近調子どう?」
トリはいきなりきかれて、そうだ、ジョークでかわそうと思い、
「えっ、お銚子1本頼みます?あ、そういう話じゃなかったですか。全く、お調子ものでして。」
と言った瞬間、その場がシーンとしてしまった。と同時に、トリが飲んでいたビールが、すいかジュースに変わった。
「うへっ!あまったるくてまずぅぃ!」
トリは、ただでさえ周りのしらーっとした反応にショックを受けているのに、さらに追い討ちをかけるように、いちいち嫌いなものに変えてしまうおやぢギャグ探知機にむかついた。

「わかりやすいギャグというのもかえって陳腐すぎていけないのか。あー、難しい。」
トリは、わざとスパルタ修行をするために、好物の鰻丼を前に、 ギャグにチャレンジした。
「最近のやつらは、ケータイなんかもち歩いて、どこでもかんでも電話してやがるよ。ケッタイな世の中だぜ。なんちって。」
カンパツ入れずに、うな丼がくさやのひもの丼になった。トリは、ニオイに窒息しそうだった。

翌日、会社に出社するときも、なぜか、おやぢギャグ探知機をつけていた。
「むかつく探知機だけど、のりかかったフネ、とことんギャグセンスを鍛えてやろうじゃないか!」
トリは、半分やけくそになりながら、おやぢ探知機をたずさえ、職場の席につくと、後輩がやってきて、お菓子を配り始めた。
「さっき、業者の人が御歳暮にって、シュークリームをくれたので、みなさん、おひとつ、どうぞ。」
トリは後輩からシュークリームを受け取った。すると、 甘いもの好きの上司もやってきて、シュークリームをもらい、上司は親しげに後輩に言った。
「お、シュークリームか。去年もたしかシュークリームをくれたんだよね。あの業者は、性懲りもなく、 しゅーくりーむもなく、なんちゃって。」
うっわぁ、かなり無理のあるだじゃれだな、とトリは内心思ったその瞬間、上司の手の上のシュークリームが、ピーマンに変わった。
「うっわぁ!なんでピーマンになったんだ!?」
上司は焦っていた。 その時、トリは、ピカピカ光るおやぢギャグ探知機に気付いた。
トリはもしかしてと思い、急いで取り扱い説明書を読んだ。

トリは自分の探知機のせいで、上司の好物のシュークリームがピーマンに変わってしまったことに、焦ったのだった。 と同時に、上司の嫌いなものがピーマンだった、ということを知り、ほくそ笑んでしまうトリだった。

あなたのジョーク、大丈夫
ですか?おやぢギャグ探知機のお買い求めはお近くのコンビニで。