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  休日出勤

トリは、ある電機メーカーに勤めるサラリーマン。対した給料をもらっているわけじゃないけど、平日は、それなりに働いて、国民のお休みの日はしっかりと休み、ごく平凡な暮らしが保証されている。
と、トリも自分が就職を決めたときはそう思っていた。
しかし、現実はそうはいかない。会社のスケジュールに併せて歯車として動く、しがないサラリーマン。

今日は金曜日だ。今日一日をなんとか過ごせば、待ちに待った週末である。平日の会社生活は週末の幸せを噛みしめるための試練の場に過ぎないのだ。

さぁ、今週末は、どう過ごそうか。
いつも昼間で寝て、洗濯してテレビを見てると、あっという間に夜になっている。それもなんなので、今週は映画でも見にいこうかな。
いやいや、ベストセラーの本を買い込んで、読書三昧、というのもいいかも知れない。思い切って、どこか小旅行に出るのもいいかも知れない。

そんなことを仕事中に考え、にやにやしていた時だった。
上司がつかつかと目の前にやってきた。
「今週末、休日出勤の届け出を出しといたから。休日出勤手当てはちゃんとつくから、貯金もたまるよ。ははは。」
その一言で、人生の楽しみを奪い去られたような大打撃を受けた。

じりりりりり・・・・。目覚しがなる。
寝ぼけまなこでテレビをつける。おや?なんか、いつもと番組が違うぞ。
今日は休みの日だっけ。もうひとねむりしよっと。
・・・じゃなーい!今日は、休日出勤の日だ!なんだか、いつものせわしいワイドショーではなく、時間を超越したのんびりしたテレビ番組に安心して、あやうく二度寝するところだった。

なんか、調子狂うなぁ、と思いながらも、会社へいく支度を整え、出かける。
みんなのんびりしてるよなぁ、と、街ゆく人ののんびりとした様子に腹立たしさを感じる。

電車を待つ。どーも、ホームにいる人たちが、いつもの緊迫感を感じるサラリーマンとは違い、へらへらした人たちばかり。ちっ、くやしいぜ。


・・・しかし、なかなか電車が来ない。いつもだったら、とっくに電車がきている時間である。
こんなんじゃ、会社に間にあうかしらん・・・。

はっと気付く。くっそぉ!休日ダイアだったのかっ!
ただでさえ、緊張感のない朝の様子にいらいらしていたのに、ますます腹がたってきた。
とりあえず、またへらへらした空気漂う電車が来ると、乗りこんで、最寄り駅で降りて、会社までダッシュしてなんとか間に合った。
ぜーぜー息を切らし、席につく。
こんなに体力使ったのは、ぜーんぶ休日出勤のせいだぁ!
無性に腹がたつ。むしゃくしゃして仕事になんか手につかない。

ぶつぶついいながら仕事をしていた。
ふと、窓から外をのぞいてみると、黒い厚い雲が増殖していくのがわかった。
その後、しばらくして、空が真っ黒になり、雨がざーざー降り,雷がゴロゴロと鳴り始めた。

一緒に休日出勤をしている仲間がつぶやいた。
「こんな雨じゃ、休みだって喜んでいる人たちも可哀想だね。」

トリはその言葉を聞いてなんだかうれしくなり、仕事がはかどった。